日本中医学会

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「中国からの留学生便り<崔衣林>」新型コロナウイルス感染症の報告2

2020.03.14 カテゴリー:中国からの留学生便り

疲労感、発熱を主症状とするCOVID-19に「金花清感顆粒」

北京中医薬大学博士課程 崔衣林


 「もしもし、こんにちは。新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、崔さんは大丈夫ですか?安全を確保できていますか?」と劉さんが心配してお電話をくれたのです。私は、無事であり政府の指導に従い隔離していることを伝え、劉さんやご家族も無事であることも確認することができました。「無事で良かったです。漢方薬をお送りしますので、住所を教えてください。」と劉さんにお気遣いをいただいたのですが、私は体調も良く、自身で鍼灸治療もやっているので、お気持ちだけ受け取ることにしました。しかし、劉さんは、実家の漢方薬は予防効果もあるからぜひ飲んでくださいと送ってくれたのです。

 翌日届いた漢方薬を見ると「金花清感顆粒」でした(図1)。この漢方薬は中華人民共和国国家衛生健康委員会の診療マニュアルに記載されており、中国国家が新型コロナウイルス感染症の治療方針として定めたものです(図2)。早速、劉さんに確認の電話をすると、実家は「北京御生堂」で、この「金花清感顆粒」を製造しているとのことでした。

図1:劉さんからの「金花清感顆粒」
図2:中華人民共和国国家衛生健康委員会の診療マニュアルより抜粋

●国家機密の秘方「金花清感顆粒」

 「金花清感顆粒」は今回、厚生労働省にあたる衛生健康委員会より発行された新型コロナウイルス診療マニュアル中の臨床所見2(疲労感、発熱を伴う)に有効なだけでなく、本薬は新型コロナウイルスの予防にも使えるのです。治療にも予防にも使えるところが西洋医学ではない中薬のメリットだと言えるでしょう。
2009年、H1N1型インフルエンザ流行に対し、北京市が1000万元(1億7千万円)を投じて中西医専門チームを結成し、世界初のH1N1型インフルエンザ薬を開発しました。「金花清感顆粒」は「中薬のタミフル」とも呼ばれ、410例の臨床試験では服用後の解熱までの時間がタミフルでは20時間であったのに対し、中薬群では16時間とタミフル以上の効果がありました。作用は疏風宣肺、清熱解毒し、組成は《傷寒論》の麻杏石甘湯と《温病条弁》の銀翹散の合方です。以下条文を引用します。

《伤寒论》:麻杏石甘汤
発发汗後,不可更行桂枝汤。汗出而喘,無大热者,可与麻黄杏仁甘草石膏汤主之。
第162条、下后,不可更行桂枝汤。若汗出而喘,無大热者,可与麻黄杏子甘草石膏汤。
《温病条辨》:银翘散
第4条、太陰風温、温热、温疫、冬温,初起悪風寒者,桂枝汤主之;但热不悪寒而渴者,辛凉平剤银翘散主之。温毒、暑温、湿温、温疟,不在此例。
第5条、太陰温病,恶风寒,服桂枝汤已,悪寒解,余病不解者,银翘散主之。余証悉减者,减其制。

●エビデンス

 RCT(ランダム化比較試験)の論文も発表されています。中国中医科学院広安門医院など6病院にて風熱犯肺型インフルエンザ136例に対する臨床試験が行われ、臨床効果が実証されています。

風熱犯肺型インフルエンザに対するRCT論文

それだけでなく、現在、武漢において天津中医薬大学校長の張伯礼教授を筆頭とする中国各地から武漢に集まった中医チームは「金花清感顆粒」VS西洋医学の比較を行っています。現時点での結果は、102例の軽症型または普通型新型コロナウイルス患者に対し、西洋医学チームとの治療効果の比較を行った結果、重症に悪化する確率は中医11.8%VS西洋医29.4%、解熱時間は中医1.5日VS西洋医3日、リンパ細胞の回復率中医74.5%VS西洋医64.7%となっております。この結果により「金花清感顆粒」が新型コロナウイルスに有効であることを統計学的に示すことができました。

武漢での中医VS西洋医の臨床比較

 以上、中国からの留学生情報でした。
1000例を超える患者が出ている日本において、一日でも早く回復することを願っております。


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