第一話 中医薬大学留学の第一歩(2)
北京中医薬大学博士課程 崔衣林
北京国際空港へ着くと、いよいよ日本語が聞こえなくなりました。不安の中、電子辞書を片手に、平野さんに伺った通り、2階下の2番乗り場のバス停を目指します。中国では言葉は通じなくても、幸い漢字は同じなので、「天津」という文字見せると方向を指差してくれ、チケットも無事購入できました。埃っぽいバスに乗せられ揺られること100分。やっと天津に到着し安心したのもつかの間、バスを降りると黒タクのおじさんたちの勧誘の嵐。それをかいくぐり、民家で電話を借り、平野さんと連絡が取れました。連絡後すぐに2年先輩の平野さんと、1年先輩の谷口さんが迎えに来てくれました。日本からこんなに遠い場所で電話一本ですぐ会えた時はとても感動でした。バス停から天津中医薬大学まではタクシーで3分(当時の天津中医薬大学旧校舎は3分、2018年新校舎に引っ越ししてからは非常に遠いが、今の寮の環境はより良い)、大学の寮はワンルームと小さいですが、ベッドと机があり、トイレやシャワー着きの個室で、毎月1200元(2万円)と非常に安いです。ホテルに到着するや否や平野さんから炊飯器や冷蔵庫、まな板、包丁、食器、ウォーターサーバー、飲料水などのキッチン用品、そしてタオル、パジャマなどの生活用品、WiFi、携帯電話などの電化製品を、数か月前に日本へ帰国した3年先輩の方たちからだと譲ってくれました。その後、電話の契約、銀行の手続きをしてくれました。普通の留学生がこれらを自分自身で行うと、言葉の壁だけでなく現地の現状がわからないため2週間はかかるところを、今回は先輩方のお陰で渡航したその日に解決しました。夜は天津日本人会恒例の歓迎会を開いてくれました。それは屋台で羊の串焼きを食べるもので、日本人留学生が十数名集まってくれました。日本では珍しい屋台はとても新鮮で、匂いが強く食べ辛い印象がある羊も、羊であるかわからないほどクセがなく非常においしく食べることができました。値段も非常に安く、食べて飲んで1人あたり50元(850円)でした。
次の日から大学に入りました。入学手続きを済ませ、中級と高級の2つのクラスの授業を体験し、中国語能力テストを受け、結果自分の行きたい方に行かせてくれることになりました。高級クラスは結構難しかったですが、授業に慣れれば大丈夫だろうと高級クラスに入りました。初級クラスも覗いたのですが、英語圏の学生が漢字の書き順から学んでいました。授業科目は中級、高級共に精読(文法)、作文、
<第一話(3)>へつづく