日本中医薬学会

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「中国からの留学生便り<玉川清美>:就職活動のころ」を掲載

2019.06.29 カテゴリー:中国からの留学生便り

就職活動しております!

遼寧中医薬大学 玉川清美


 6月に入り、日本ではそろそろ梅雨入りでしょうか。瀋陽では乾燥した暑さが続いております。中国では、9月入学6月卒業であり、最近大学のキャンパスではアカデミックダウンを着て写真撮影をする学生で賑わっております。中国各地の中医薬大学の日本人留学生たちも卒業を迎え、現在就職活動をしております。数年前は日本での臨床のスキルアップのため中国へ留学する学生が多かったですが、近年では中国での収入が上がり、大都市での収入は日本と変わらないことから中国国内での就職を希望する日本人学生も増えております。

 近年アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどでも中医学が活発に行われ、マレーシアやタイ、ベトナムなどでは中医学に関する法整備が行われ、中国での学歴があれば母国で中医師試験を受験できるようになりました。一方日本では新たな変化はなく、中国と免許制度や環境が異なるため、中国で中医学を学んだ方が、どこでどのように中医学を活かし、社会貢献していくかが課題となっております。日中国交正常化された1970年代以降、日本人が本場中国で中医学を学べるようになりました。しかし、日本で免許が使えない事を理由に、日本に帰国後、中医学とは全く無関係の仕事に就いてしまう方が多いのが現状です。中国の中医薬大学を卒業した留学生の就職問題は未だ解決しておらず、サポートしてくれる人もおらず、受け入れ先も少なく、免許制度も異なるため、半世紀の間、若い中医専門人材を流出し続けたと言っても過言ではないでしょう。

 急速に発展する中国は新たな時代を迎えました。そんな中で学ぶ私たちは、国際的な広い視野を持ち、中医学を通して日中友好の架け橋、そして世界への架け橋となることで、より多くの方に中医学を知ってもらい、より多くの方の役に立てると思っております。現在国際的に注目される中医学ですが、同時に日本漢方や日本鍼灸も世界で注目が高まっています。理由は日本漢方の精密さ、日本鍼灸の丁寧さ、そして世界的にも有名な日本式サービスによるところだと思います。日本の漢方薬の原材料は中国の輸入に頼っていますが、中国漢方の最高級のものは中国国内に出回らず日本へ輸出されている事は中薬を専門にしている方なら皆さん承知の事実です。このような世界のニーズからも、私たちは今日の中医学を日本へ伝えるだけでなく、日本漢方や日本鍼灸を世界へ伝える役割を果たすべきだと感じております。

 同時に中医学を通して他分野に発展することができます。最近中国で注目されているのが、中医学+AI=近未来医療、中医学+介護=高齢者医療、中医学教育+インターネット=オンライン教育、中医学+養生=生活の中での中医学の実践などです。これらはまだまだ日本に浸透していない部分なので、ぜひ日本の皆さんにお伝えできればと思います。

 私たちは中医学を根本とし、国を超えて、分野を超えて、世界をバックグラウンドに中医学の発展に貢献していきたいという志を持ち、就職活動をしております。まだまだ受け入れ先は少なく、中医学の認知度や私たちの存在が知られていないのが現状ですが、引き続き頑張っていきたいと思います。

 我们一起加油!(一緒に頑張りましょう!)


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