日本中医薬学会

日本語 | 中文English

第11回学術総会 2021年

2021.04.09 カテゴリー:過去の学術総会

 

第11回学術総会 会頭 王 財源
(関西医療大学教授 附属図書館館長)

ごあいさつ

いよいよ日本も超高齢社会を迎え、日本の医療も、その対応については回避できない状態に遭遇しています。日本国内の高齢者人口は増加の一途をたどり、内閣府によると、現在の平均寿命について、2016年に男性80.98歳、女性87.14歳、2065年の平均寿命は男性84.95歳、女性91.35歳と、さらに寿命が長くなるという推計が出されています。
 2019年の高齢者の総人口に占める割合を他国と比較すると、日本(28.4%)が世界ではもっとも高く、次にイタリア(23.0%)、ポルトガル(22.4%)、フィンランド(22.1%)の順になっています。
 このような社会情勢のもとで、日本中医薬学会第11回学術総会では、中国伝統医学(以下、中医学)がどのようにして超高齢時代において現代医学を補完し、高齢者の「生活の質」を高めることができるのか、また、本学会が今後、日本の国内や国外で果たすべき役割と、より豊かな市民生活を営むために健康寿命の延伸について再考して行きたいと考えております。

中国伝統医療文化を基軸に成立した中医学には、本来、健康長寿を目指した先人らの豊富な知識と経験があります。「健康に生きること」「若々しくあること」「美しさを保つこと」これらの願望は、洋の東西を問わず、高齢者の方々の「生活の質」を高めるためには欠かすことができません。しかしながら、複数の慢性疾患が絡み合い、多剤併用の臨床現場において、高齢者に対する優しい医療を、どのような方法で補い、高齢者の「生活の質」を如何に高めるかについては、今後の医療に求められる課題でもあります。
 数千年の経験と実績を育んできた中医学は、あらゆる人種や民族、国籍や階層などの差異を超え、個々の違いを尊重しあい、差別することなく、すべての国民が平等に受けることができる医療であり、それらは各国にみる伝統医学の足跡をみても明らかです。
 ITの発展により、数千年間の経験則に基づいて蓄積された、伝統医学の技術力の水準は、現在、より進化を遂げ、その技術理論の応用は、今後の日本の伝統医療文化を支えることになるでしょう。

今年度の学術総会はCOVID-19が世界的に拡大するなか、WEB方式による学会開催となりますが、進み行く超高齢時代の中で、全国民への信頼と理解を広げる情報発信の場として、各界の有識者にご参加して頂き、日本中医薬学会の果たすべき使命と役割について、参加者の先生方と共に語りながら、新しき時代の潮流を切り開いて行く学術総会にしてまいります。

私たちの未来を託す若者らに何ができるか! それは私たちの〝挑戦〟にほかならない。

概要

[綜合テーマ]
超高齢時代に挑む中医学~“学”と“術”の相互補完~
会  頭
王 財源(関西医療大学大学院 保健医療学研究科教授 附属図書館館長)
会  期

(LIVE配信)  :2021年11月3日(水・祝)・7日(日)
(オンデマンド配信):2021年11月5日(金)~28日(日) 23:59まで

会  場

WEB方式による開催となります

会  費

※参加申込を締め切りました。
 多数のお申込をいただき、ありがとうございました。

主な内容

○ 会頭講演
「人生100年時代、なぜ歴史は〝気〟〝血〟を必要としたのか!ーこころ&からだの処方箋ー」
… 王 財源(関西医療大学大学院 保健医療学研究科教授 附属図書館館長)

○ テーマ関連特別講演1
「脳内ネットワークから見た漢方薬 抑肝散は脳神経線維の保護作用がある」
… 仁井田りち(慶應義塾大学医学部精神神経学教室特任助教)

○ テーマ関連特別講演2
「長寿のサイエンス」
… 武田時昌(京都大学名誉教授、関西医療大学 客員教授)

○ テーマ関連特別講演3
「日本老年医学会ガイドライン作成の経験から見えてきたこと」
… 岩崎鋼(名取熊野堂病院 副院長)

○ テーマ関連シンポジウム1
「エキスパートシンポジウム ー高齢化社会における中医診療の智恵・覚悟・未来ー」
… 清水雅行(清水内科外科医院 院長)
… 吉富 誠(梼原病院 内科医師)
… 西田愼二(にしだクリニック院長)
… 福永智栄(姫路赤十字病院 緩和ケア部長)
… 岡崎弘泰(高雄病院 医長)

○ テーマ関連シンポジウム2
「超高齢時代の多職種連携と鍼灸ー三焦鍼法による未病領域・認知症への挑戦」
… 川並汪一(新宿漢方クリニック院長 日本医科大学名誉教授 一般社団法人老人病研究会会長)
… 兵頭明(学校法人衛生学園 中医学教育臨床支援センター センター長)
… 韓景献(天津中医薬大学教授)

○ “先端科学と伝統医学との融合”シンポジウム
「ヘルスケア分野における社会実装研究の最前線」
… 蒲原聖可 (ことり訪問診療所)
… 佐藤知正 (東京大学名誉教授)
… 和泉逸平 (株式会社 ヘルステクノロジーズ代表取締役)

○ 招待講演1
「老年化世代中醫扮演的角色與挑戰」
… 黃建榮(台北市中医師公会理事長)
… 林舜榖(台北市立聯合医院仁愛院区主治医師)

○ 招待講演2
「武漢訪問記」
… 崔衣林(中国天龍堂中医クリニック、神戸東洋医療学院研究員)

○ 招待講演3
「Chinese Medicine Wisdom on COVID-19: from Prevention to Rehabilitation」
… 鍾麗丹(香港浸會大學 Hong Kong Baptist University (HKBU)  Assistant Professor, Teaching and Research Division)

○ 招待講演4
「傳世原典與出土文獻之「經脈」比較研究」
… 陳麒方(台灣中醫臨床醫學會監事長)

○ 招待講演5
「山元式新頭針療法による突発性難聴での効果:単施設後ろ向き研究」
… 高資承(台湾山元式学会理事長)

○ 特別講演1
「中薬学理論を科学する」
… 牧野利明(名古屋市立大学 教授)

○ 特別講演2
「耳介療法の現代的意義ーその源流から考える」
… 吉田宗平(関西医療大学学長)

○ 特別講演3
「中医学からみたCOVID-19 up to date -変異株は中医学的に見ても変異している―」
… 加島雅之(熊本赤十字病院)

○ 特別講演4
「ICD-11の病証と活用における展望」
… 和辻直(明治国際医療大学大学院 教授)

○ 特別講演5
「中国大陸の中医学の現代化と中国大陸の新型コロナウイルス感染症対策最新状況」
… 藤田康介(上海東和クリニック中医科 主治医師)

○ ワークショップ1
「これから中医学を学ぼうとする医学生・医師への提言ーそれぞれの経験から」

○ ワークショップ2
「活躍する! 来日・中医鍼灸師の臨床状況」

○ ワークショップ3
「薬局における漢方・中医学の実践」

○ 一般演題ほか